複数の被相続人を介護したケース|それぞれ請求できるか
義父と義母など複数の被相続人を介護した場合、それぞれの相続で特別寄与料を請求できるのか。計算方法と注意点を解説。
複数の被相続人を介護した場合
義父と義母、あるいは叔父と叔母など、複数の被相続人を介護した場合、それぞれの相続において個別に特別寄与料を請求できます。
基本的な考え方
特別寄与料は被相続人ごとに独立した請求権です。義父が亡くなった相続では義父に対する介護の寄与を、義母が亡くなった相続では義母に対する介護の寄与を、それぞれ別個に請求します。
計算例:義父母の両方を介護したケース
義父の相続(先に死亡)
- 前提条件:
- 立場:長男の嫁
- 義父の要介護度:要介護3
- 介護期間:5年
- 頻度:毎日(同居)
- 試算結果:
- 身体介護:26日/月 × 2.5時間/日 × 4,000円 × 60ヶ月 = 15,600,000円
- 家事援助:26日/月 × 1.5時間/日 × 2,500円 × 60ヶ月 = 5,850,000円
- 合計:21,450,000円
- 裁量的割合(要介護3):60%
- 義父分の特別寄与料(概算):約1,287万円
義母の相続(後に死亡)
- 前提条件:
- 義父の死後、義母の介護を継続
- 義母の要介護度:要介護4(義父の死後に悪化)
- 介護期間:8年(義父存命中5年 + 義父死後3年)
- 頻度:毎日(同居)
- 試算結果:
- 身体介護:30日/月 × 3時間/日 × 4,000円 × 96ヶ月 = 34,560,000円
- 家事援助:30日/月 × 2時間/日 × 2,500円 × 96ヶ月 = 14,400,000円
- 合計:48,960,000円
- 裁量的割合(要介護4):70%
- 義母分の特別寄与料(概算):約3,427万円
合計(義父母合わせて):約4,714万円
注意点
時効は個別に進行する
それぞれの相続ごとに6ヶ月の時効が個別に進行します。義父が先に亡くなった場合、義父の相続に対する特別寄与料は義父の死亡時から6ヶ月以内に請求しなければなりません。
介護時間の重複に注意
義父母を同時期に介護していた場合、それぞれの介護時間を分けて計算する必要があります。例えば、1日6時間の介護のうち義父に3時間・義母に3時間と配分します。同じ時間を二重に計上することはできません。
遺産額の制約
特別寄与料の上限は、それぞれの被相続人の遺産額に制約されます。計算上の金額が高くても、遺産が少なければ満額は受け取れません。
アドバイス
複数の親族を介護する方は、被相続人ごとに介護記録を分けて管理することが重要です。「今日は義父の入浴介助と義母の食事介助をした」のように、誰に対する介護かを明確に記録してください。また、最初の相続が発生した時点で時効が進行するため、先に亡くなった方の特別寄与料を忘れずに請求することが極めて重要です。
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