相続放棄した場合の特別寄与料|放棄しても請求できるか
相続放棄をした相続人の親族は特別寄与料を請求できるのか。相続放棄と特別寄与料の関係、請求先への影響を解説します。
相続放棄と特別寄与料の関係
特別寄与料は相続人以外の親族が請求する制度です。では、相続放棄をした場合やその親族にどのような影響があるのでしょうか。
パターン別の整理
パターン1:介護者自身が相続放棄した場合
相続人が相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったものとみなされます(民法939条)。しかし、相続放棄した者が「特別寄与料」を請求できるかは議論があります。
- 現在の有力な見解:
- 特別寄与料の請求者は「被相続人の親族」であることが要件
- 相続放棄した者は「相続人」ではなくなるが、「親族」であることは変わらない
- ただし、相続放棄は「相続に関わらない」という意思表示であるため、特別寄与料の請求は信義則上認められない可能性が高い
パターン2:介護者の配偶者(相続人)が相続放棄した場合
例えば、長男が相続放棄しても、長男の嫁は引き続き被相続人の親族です。この場合:
- 長男の嫁は元々相続人ではないため、長男の相続放棄は嫁の地位に影響しない
- 長男の嫁は特別寄与料を請求できる
計算例:長男が相続放棄し、嫁が特別寄与料を請求
- 前提条件:
- 長男:借金を理由に相続放棄
- 長男の嫁:義父の介護を8年間実施
- 要介護度:要介護2
- 残った相続人:次男・三男
- 試算結果:
- 身体介護:20日/月 × 2時間/日 × 4,000円 × 96ヶ月 = 15,360,000円
- 家事援助:20日/月 × 1.5時間/日 × 2,500円 × 96ヶ月 = 7,200,000円
- 合計:22,560,000円
- 裁量的割合(要介護2):50%
- 特別寄与料(概算):約1,128万円
- 請求先の変化:
- 長男が相続放棄したため、請求先は次男と三男のみ
- 次男・三男が各自の法定相続分に応じて負担(各約564万円)
相続放棄の期限との関係
- 相続放棄の期限:相続開始を知ってから3ヶ月以内
- 特別寄与料の請求期限:相続開始・相続人を知ってから6ヶ月以内
相続放棄を検討する場合、特別寄与料の請求権への影響を踏まえて判断する必要があります。
アドバイス
相続放棄を考えている相続人の配偶者が介護をしていた場合、配偶者自身の特別寄与料請求権は失われません。ただし、相続放棄により他の相続人の負担が増えるため、事前に弁護士に相談し、家族全体の最適な戦略を検討することを強く推奨します。
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