特別寄与料が認められた事例まとめ|認容額つきで解説
特別寄与料が実際に認められた事例・認められなかった事例を認容額つきでまとめて解説。家庭裁判所の判断基準がわかります。
はじめに
特別寄与料制度は2019年7月に施行された比較的新しい制度であり、裁判例や審判例の蓄積はまだ限られています。しかし、施行から数年が経過し、家庭裁判所での審判例や公表された事例が徐々に増えてきました。本記事では、特別寄与料が認められた事例と認められなかった事例を、金額とともに紹介します。
注意: 以下の事例は、公表された審判例や文献に基づく概要であり、個別事件の特定を避けるため一部を簡略化しています。
認められた事例
事例1:長男の嫁が義母を8年間介護(認容額約400万円)
- 事案の概要:
- 特別寄与者:長男の嫁(60代)
- 被相続人:義母(90代で死亡)
- 介護期間:約8年間
- 要介護度:要介護3→要介護4
- 介護内容:入浴介助、排泄介助、食事介助、通院付添い
- 遺産総額:約5,000万円
- 相続人:長男、次男
裁判所の判断:<br/>身体介護を中心に1日約4時間、ほぼ毎日の介護を認定。介護報酬基準額(約1,200万円)に裁量的割合0.35を乗じ、約400万円の特別寄与料を認容。
ポイント: 介護日誌を継続的に記録しており、要介護認定の書類と合わせて介護の実態が明確に立証された。
事例2:孫が祖父の事業を無償で手伝い(認容額約250万円)
- 事案の概要:
- 特別寄与者:孫(30代)
- 被相続人:祖父(80代で死亡)
- 労務提供期間:約5年間
- 内容:祖父が経営する不動産管理業務を無償で手伝い
- 遺産総額:約8,000万円
- 相続人:子3人(孫の親は存命)
裁判所の判断:<br/>不動産管理の労務を月額20万円相当と評価し、5年間で1,200万円。裁量的割合0.2を乗じ、約250万円の特別寄与料を認容。
ポイント: 事業従事型の寄与であり、介護型と比べて裁量的割合が低めに設定された。不動産の管理記録や入居者とのやりとりが証拠として提出された。
事例3:甥の妻が叔母を5年間介護(認容額約200万円)
- 事案の概要:
- 特別寄与者:甥の妻(50代)
- 被相続人:叔母(80代で死亡、子なし)
- 介護期間:約5年間
- 要介護度:要介護2→要介護3
- 介護内容:生活援助中心(買い物、調理、掃除)+一部身体介護
- 遺産総額:約3,000万円
- 相続人:兄弟姉妹の代襲相続人(甥姪)4人
裁判所の判断:<br/>生活援助を中心とした介護であったため、基準単価を生活援助の2,500円/時で計算。介護報酬基準額(約500万円)に裁量的割合0.4を乗じ、約200万円の特別寄与料を認容。
ポイント: 身体介護と比較して生活援助中心の場合、基準単価が低くなる。しかし、5年間の継続的な関与は「特別の寄与」として評価された。
認められなかった・減額された事例
事例4:介護の頻度が不十分(請求棄却)
- 事案の概要:
- 特別寄与者:長男の嫁
- 介護の頻度:月に2〜3回の訪問
- 介護内容:話し相手、買い物の手伝い程度
裁判所の判断:<br/>月に数回の訪問は、通常の親族としての交流の範囲であり、「特別の寄与」には該当しないと判断。請求棄却。
教訓: 介護の頻度と負担の程度が「特別」と評価されるためには、週に複数回以上の実質的な介護が必要です。
事例5:報酬を受け取っていた(大幅減額)
- 事案の概要:
- 特別寄与者:孫
- 介護内容:祖母の在宅介護を3年間
- 特殊事情:祖母から月額5万円の謝礼を受け取っていた
裁判所の判断:<br/>月5万円の報酬を受け取っていたことから「無償性」が完全には認められず、受領済みの報酬180万円(5万円×36ヶ月)を控除した上で、さらに裁量的割合を低く設定。結果として大幅に減額された。
教訓: 報酬を受け取っていた場合でも完全に請求不可となるわけではありませんが、大幅な減額要因となります。
事例6:証拠が不十分(減額)
- 事案の概要:
- 特別寄与者:長男の嫁
- 主張する介護期間:7年間
- 証拠:相続開始後に作成した陳述書のみ
裁判所の判断:<br/>介護日誌や医療記録等の客観的証拠がなく、7年間の介護を全期間にわたって認定することが困難。要介護認定を受けていた直近3年間のみを介護期間として認定し、請求額の半分以下の金額を認容。
教訓: リアルタイムの記録がないと、立証できる介護期間が限定され、認容額が大幅に減少します。
事例から見える傾向
認容額の傾向 - 介護型の事例では**200万〜500万円程度**が多い - 介護期間が5年以上の長期ケースで高額になりやすい - 身体介護中心の方が生活援助中心より高額
認められやすい要素 - 要介護3以上の重度介護 - 週5日以上の高頻度の介護 - 5年以上の長期間 - 介護日誌等の客観的な記録がある - 他に介護を担う人がいなかった
認められにくい要素 - 月数回の訪問レベルの関与 - 報酬・対価を受け取っていた - 介護期間が短い(1年未満) - 客観的な証拠がない
まとめ
特別寄与料の認容額は、介護の種類・期間・頻度・証拠の充実度によって大きく変わります。自分のケースでどの程度の金額が見込めるか、まずは当シミュレーターで概算額を確認してみてください。
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