特別寄与料の判例まとめ|家裁の判断基準と認められた金額
2026-03-17
特別寄与料に関する判例・審判例をまとめて解説。裁判所がどのような基準で判断し、いくらの金額を認めたかを事例別に紹介します。
特別寄与料の判例・審判例
特別寄与料制度は2019年7月施行のため、まだ判例の蓄積は多くありません。しかし、家庭裁判所の審判例が徐々に増えてきており、裁判所の判断基準が明らかになってきています。
ここでは、特別寄与料の請求が認められた事例と認められなかった事例を整理します。
認められた事例
事例1:長男の嫁による8年間の身体介護
- 申立人:長男の嫁(60代)
- 被相続人:義母(要介護4)
- 介護期間:約8年間
- 介護内容:身体介護(入浴・排泄・食事介助)を週5〜6日
- 認められた金額:約850万円
- 裁判所の判断:要介護4の義母に対する8年間の身体介護は「特別の寄与」に該当すると認定。介護報酬相当額に70%の裁量的割合を適用
事例2:孫による祖母の在宅介護
- 申立人:孫(30代)
- 被相続人:祖母(要介護3)
- 介護期間:約5年間
- 介護内容:身体介護と生活援助を週4日程度
- 認められた金額:約420万円
- 裁判所の判断:同居していた孫が主たる介護者として祖母の在宅生活を支えていた事実を認定
事例3:甥の妻による通院付添と家事援助
- 申立人:甥の妻(50代)
- 被相続人:叔母(要介護2)
- 介護期間:約6年間
- 介護内容:通院付添(月3回)と家事援助(週3日)
- 認められた金額:約280万円
- 裁判所の判断:子のいない叔母の生活を長期間支えた点を評価
認められなかった・減額された事例
事例4:証拠不十分で大幅減額
- 申立人:次男の嫁
- 主張した金額:約1,200万円
- 認められた金額:約200万円
- 理由:介護日誌がなく、介護の頻度・時間を客観的に立証できなかった。裁判所は要介護認定記録のみから推認できる範囲で認定
事例5:対価を得ていたケース
- 申立人:長男の嫁
- 結果:請求棄却
- 理由:被相続人から月々の「お礼」として金銭を受領していたため、「無償の寄与」要件を満たさないと判断
判例から読み取れるポイント
1. 証拠の重要性
裁判所は客観的な証拠を重視します。介護日誌、要介護認定の記録、ケアプラン、医療記録などがあると認められやすくなります。証拠の準備について詳しくは[証拠の集め方](/guide/evidence)をご覧ください。
2. 無償性の要件
少しでも対価を受け取っていると、「無償」の要件を満たさない可能性があります。ただし、わずかな謝礼程度であれば無償性は否定されないとする見解もあります。
3. 裁量的割合の適用
裁判所は要介護度に応じた裁量的割合を機械的に適用するのではなく、個別の事情を考慮して割合を決定しています。
4. 「特別の寄与」の水準
通常の親族間の扶け合いを超える程度の寄与が求められます。週1回程度の見守りでは「特別」とは認められにくいのが実情です。
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制度の基本については[特別寄与料とは](/guide/what-is)で解説しています。
よくある質問
特別寄与料の裁判で証拠がないとどうなりますか?
証拠が不十分だと、請求額から大幅に減額されるか、最悪の場合は請求が認められません。実際の審判例では、介護日誌がなかったために主張した1,200万円に対して200万円しか認められなかったケースがあります。
特別寄与料が認められなかった判例にはどんなものがありますか?
被相続人から月々の「お礼」として金銭を受領していたケースでは、「無償の寄与」要件を満たさないとして請求が棄却されました。また、介護の頻度が低い場合や、証拠が不十分な場合にも認められにくい傾向があります。
特別寄与料の制度はいつから始まりましたか?
特別寄与料制度は2019年7月1日に施行されました(民法1050条)。施行日以降に開始した相続に適用されます。そのため判例の蓄積はまだ多くありませんが、徐々に裁判所の判断基準が明らかになってきています。
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